"初期費用・固定費なしで自分の教室が持てました"ボイトレ教室 歌種~うたたね~ ミュージックライフさま|主催団体インタビュー
「歌種~うたたね~ ミュージックライフ」は、現役のプロの歌手から直接、発声や声量アップ、歌唱など、歌の基礎となるボイストレーニングを学べる教室です。レッスンで扱うジャンルは様々で、ポップスからクラシックまで受講生のニーズに合わせた多角的なアドバイスを受けられるのが特徴です。
同教室が看板を出しているのは、学びのプラットフォーム「ストアカ」のみ。さらに、レッスン形態はZoomを使ったオンラインと、対面では都内のレンタルスタジオで、曜日など固定日を持たずに実施しています。ピアノや声楽といった、音楽系の教室では、あまり例を見ない運営方法を取っています。
主宰の若狭彩香先生は、音大・大学院で歌を徹底的に学んだのち、歌手としてテレビ番組にレギュラー出演するなど、精力的に音楽活動を行いながら、一般企業にも就職しました。
音楽家と会社員という二足の草鞋をはく生活を送る中で、若狭先生が同教室の立ち上げ準備を始めたのは、長男出産後の育休期間でした。
「初期費用や固定費をかけることなく、教室を持つことができたのはストアカがあったからです」と話す若狭先生に、ストアカを活用するメリット、またオンラインや対面レッスンでの取り組みについて伺いました。
(取材日:2024年10月7日)
場所、時間、回数も。自由に教えられるストアカ
ストアカ編集部(以下、――):ストアカを導入したご経緯をお聞かせください。
歌種~うたたね~ ミュージックライフ 若狭 彩香先生(以下、若狭 ):
ストアカは『歌種~うたたね~ ミュージックライフ』の立ち上げ時から導入しています。というより、「ストアカがあったからこそ教室を起業できた」と言った方が正しいかもしれません。
少し経歴をお話しさせていただきますと、私は音大と大学院で声楽を学んだ後、卒業後は一般企業に就職し、音楽活動と会社員の二足の草鞋(わらじ)を履いています。
歌手としての活動では、テレビ番組『BS-TBS 日本名曲アルバム』にレギュラー出演させていただいたり、その番組内でプロ歌手の育成・プロデュースを行ったり、またイベントに出演するなど、多岐にわたって現在も活動しています。
そうした活動を続ける中で、「一般の方にも歌を教えたい」と思い、地域の音楽教室で講師として勤務しながら、自分の教室をいつか開くことを目標にしていました。
――:なぜ教える活動も始めたいと思われたのですか?
若狭:「教えたい」と思ったきっかけは、2020年から始まったコロナ禍です。コロナの影響で歌の仕事が減ってしまったことに加え、コロナ禍の閉塞感で私自身の気持ちも落ち込んでいました。また、ホルモンバランスに影響を受けやすい体質もあり、浮き沈みが激しいメンタルとも付き合っていました。そんな苦しい時期に救ってくれたのが、「歌うこと」でした。
「歌うこと」は気分転換になったり、自分を解放できたり、心の栄養剤になると思っています。だからこそ、世の中の皆さんにも「歌うこと」を学んでほしい、共に歌い、励まし合い、歌を通じて元気になっていただきたいという想いが、コロナ禍をきっかけにフツフツと湧いてきたんです。
既存の音楽教室のカリキュラムではなく、私個人として「伝えたいこと」「教えたいこと」がたくさんあったので、「自分の教室を開いて、もっと自由に教えたい」という強い思いが芽生えました。
しかし、最適なやり方がずっと見つかりませんでした。そんな中でプライベートでは長男の妊娠出産があり、会社から産休育休をいただいていました。その際、生徒としてストアカの講座に参加する機会があり、そこで初めてストアカという学びのプラットフォームを知りました。
ストアカでは「誰でも先生になれる」「いつでもどこからでも教えることができる」という特徴を聞き、「ストアカなら自分のスタイルやペースで自由に教えられる」と思い、すぐに教室立ち上げの準備に入りました。そして、育休中にストアカで初レッスンを開催することができました。
――:若狭先生ご自身が教えることを目的にストアカを始められましたが、主催団体として登録したのはなぜですか。
若狭:私を含めて2名の講師が自身の主催団体ページに先生としてを掲載していますが、現状は私一人で教えています。実はもう1名の講師は夫なんです。夫も音大卒で、現在も音大で教員をしておりますので教えるスキルは十分にもっていますので、ゆくゆくは夫婦で教室を盛り上げていければと思っています。
さらに、教室が大きく成長すれば、新たな講師を迎え入れることも視野に入れています。場合によっては、プロの方に講師として所属していただき、教室の裾野を広げることも検討しています。
ストアカでは、個人で活動したあと、主催団体として登録しても、個人の開催実績を主催団体へ移行する事はできないとのことです。ですので、今は私一人で教えていますが、今後の可能性や将来の展望も込めて『主催団体』として登録したという経緯です。(※1)
プロの現役歌手から習う「ボイトレ」。オンラインにも対応
――:どのような講座を開催されていますか?
若狭:基本的には「歌いたい方のためのボイストレーニング」を行っています。
歌のトレーニングは、声を整える「ボイストレーニング」と、整えた声で曲を歌い表現する「ボーカルトレーニング」の2つに大きく分かれます。
歌は、声を楽器として扱うものです。ですので、楽器としての体の使い方を覚え、声を自由にコントロールし、出したい音を正確に出せるように鍛えるのが「ボイストレーニング」です。
どんなジャンルの曲でも共通ですが、声という楽器が整って初めて、曲を自由自在に歌えるようになり、そこからどんどん表現の幅が広がっていくんです。
私は「ボイストレーニング」と「ボーカルトレーニング」の両方を教えていますが、やはり声作りができていないことで悩んでいる方が多いので、まずは「ボイストレーニング」に重点を置き、その延長として「ボーカルトレーニング」も行っています。
――:生徒はどのような方が参加していますか?
若狭: そうですね、本当に全く初めての方から、他の先生に習ったことがある方まで、経験レベルはさまざまです。ただ、初心者の方が非常に多いですね。
中にはプロを目指している方や、オーディションを受けるためにレッスンを受ける方もいらっしゃいますが、一番多い受講目的は「カラオケが好きで上手くなりたい」という方です。「カラオケで90点台を取りたい」という具体的な目標を持つ方もいますし、「自分の好きな歌を、自分の思い通りに歌いたい」という、自己満足度を高めたい方も多いですね。
――:生徒の年齢層や性別に特徴はありますか?
若狭:今まで10代から70代の方まで受講されていますが、最も多い層は30代・40代です。私は、ストアカの月額サービス『みんなで歌活!ボイトレサロン』を運営していますが、加入者の割合は女性が7割、男性が3割くらいだと思います。
開業当初は、ほとんどが女性の生徒様だろうと予想していました。私が以前講師をしていた地域の音楽教室でも女性が多く、中高生の合唱部でも女子生徒が圧倒的に多かったので、「歌の習い事=女性」というイメージを持っていました。しかし、ストアカに掲載したところ、男性からも反響があり、新しいニーズに気付かされました。
――:教える場所はどのようにされているのでしょう。
若狭:レッスン形態は、対面とオンラインの両方を用意しています。
対面レッスンの場合は、都内の音楽専用スタジオをレンタルしています。ピアノがあり、駅からアクセスが良い場所を選んでいます。よく借りているスタジオは2箇所あり、どちらもレッスンのある日のみスポット的に借りています。
オンラインレッスンの場合、私は自宅からZoomを使用しています。生徒様については、大きな声を出すレッスン内容なので、ご自宅での受講が難しい場合は、カラオケルームなどから参加される方もいらっしゃいますよ。
ストアカは「出会いの宝箱」。初期費用・固定費なしで音楽教室を開業
――:ストアカを利用して良かったことを教えてください。
若狭:私は「ストアカは出会いの宝箱」だと思っています。それは、新規の集客ができるだけでなく、ストアカに登録されている多くの先生方の中から「この先生にしよう」と私を選んでくださった方々との出会いがあるからです。
私も以前、地域の音楽教室で講師をしていましたが、その際は「講師」ではなく、「教室」の立地や条件で生徒さんが選ぶことがほとんどでした。講師側としても、受け持つクラスは振り分けで決められるので、仕方ない部分もありました。
しかし、ストアカでは「私という講師」を選んで生徒さんが予約をしてくれるので、教室の立地に関係なく、生徒さんが来てくださるんです。
ストアカの対面レッスンは、スタジオの空き状況や私の予定に合わせて開催日程や場所を決めています。さらに、ストアカのメッセージ機能を使って、リピーターさんや「受けたい登録」をしてくださった方に「この日に○○で対面レッスンを行います。予約受付中です」と送ると、すぐに予約してくださいます。もちろん、新規の方もいらっしゃいます。
生徒さんの住まいもさまざまで、遠方から来られることもあります。
やはり、ストアカは「教室という箱軸」ではなく、「先生という人軸」で集客できるのが強みだと思います。
私を選んでくださることに、本当にやりがいを感じますし、教えることを通じて私自身も自己実現ができていると思っています。
――:教室の運営面についてはいかがでしょうか?
若狭 :実は、うちの教室の看板はリアルではどこにも出していないんです。教室はWeb上のストアカにしか存在しません。
一般的に、個人で音楽教室を開業する場合は、スタジオを賃貸契約して看板を掲げ、宣伝活動を行うという流れになると思います。自分たちの場所があれば、いつでもレッスンを行えるメリットはありますが、その分、家賃や家具、楽器などの固定費や初期費用がかかるので、開業当初の私には荷が重すぎました。
一方、当教室の運営費用は、スタジオはレッスン日のみレンタルし、オンラインレッスンは自宅で行っていますので、家賃や固定費は一切かかっていません。レッスンがあるときにスタジオ代やストアカへの手数料がかかるだけです。パソコンや通信回線は必要ですが、赤字になることがないため、非常に始めやすかったです。
――:広告費や集客についてはいかがでしょうか?
若狭 :もし仮に、私が自宅で教室を始めるとして、全部一人で宣伝をするとなると、ご近所にポスティングしたり、お店に張り紙をさせてもらったり、SNSをやったりすると思います。でも、私はそれらは一切やっていません。ストアカに登録をしているだけなんです。
ストアカは集客支援も行ってくれるので、Web広告やメルマガ、カテゴリーごとの週間ランキングなどを通じてたくさん宣伝してくださり、自分一人では届かない層にもアプローチできていると感じます。
実際、レッスン前日に予約が入ることもあります。受講理由を聞くと「受けたい登録をしていたら、ストアカからメールが来て、まだ1席空いていたので滑り込んだ」とおっしゃる方もいました。宣伝から予約の受付、レッスン料の決済まで自動で行える点はすごく便利ですね。
ですので、ストアカに登録さえしておけば、皆さんが私を見つけてくださり、レッスンに来てくれるという状況は、本当にありがたいです。
私は母親業、会社員、歌手、そして歌の先生として、二足も三足も草鞋を履いているような状態ですが、ストアカがなければ全ての活動を行うことはできていなかったかもしれません。
――:他にも、メリットだと感じていることがあればお聞かせください。
若狭:オンラインレッスンができたことじゃないでしょうか。
オンラインで教えたのはストアカが初めてなんです。そもそも、音楽をオンラインで教えることができるなんて、最初は想像もしていませんでした。
私自身、音大を含めて対面以外でレッスンを受けたことが一度もなかったので「音楽の指導は対面で行うもの」だと思い込んでいたんですね。ですので、最初はオンラインで教えること自体に半信半疑でした。でも、実際に挑戦してみると、その可能性に本当に驚きました。
オンラインでレッスンを始めた生徒様も、みるみる上達していく姿を目の当たりにして、「オンラインでも音楽をしっかり教えられるんだ」と確信したのは大きな発見でした。
――:音楽をオンラインで教えることは新たなチャレンジだったのですね。レッスンの工夫点などあれば、ぜひお聞かせください。
若狭:オンラインレッスンで特に工夫しているのは、言葉でしっかり説明することです。
対面でも同様ですが、音は目に見えないため、教えるのが比較的難しい部分です。しかし、対面であれば生徒の全身が見えたり、生の音が聞けたりするので情報量が多く、言葉だけに頼らなくても指導が可能です。
一方、オンラインでは画面を通じての指導となり、視覚情報が限られるため、より多くの言葉で説明しなければなりません。そのため、伝える側も受け取る側も大変ですが、生徒様はよく理解してくださっていて、皆さん良くできてらっしゃいますよ。
もう1つ悩んだのがグループレッスンです。すぐに取り入れたかったのですが、なかなか一歩踏み出せませんでした。その理由は、タイムラグがあるので全員で歌うと音が大きく乱れるからです。
そこで、Zoomの「ミュート機能」を活用しています。
みんなで歌う時は、生徒様全員をミュートにし、私の声だけを届けます。私がガイドボーカルとして歌い、生徒様はそれに合わせて画面の向こうで歌うという形式です。
これが意外と好評なんです。恥ずかしがり屋の生徒様でも、私と一緒に歌えば安心できますし、お互いの声を気にせずに思いっきり歌えるので、学ぶと同時に爽快感も得られるようです。
また、生徒様の歌を私に聞いて欲しい場合は少し残ってもらったりもしていますが、レッスンの進め方は今も試行錯誤しながら、いつもブラッシュアップするようにしています。
また、より詳細なアドバイスが欲しい場合はマンツーマンレッスンを提供していますし、対面レッスンに来られる方もいらっしゃいます。さらに期間を決めてコミットしたい方には、マンツーマンのカスタマイズレッスンやコース講座も好評です。まずはオンラインのグループレッスンから始め、生徒様の目標に合わせたサービス展開を行っています。
夢の実現とわが子とのかけがえのない時間、どちらも手にしていきたい
――:今後の展望をお聞かせください。
若狭:まず、教室としては生徒様の発表会や、当教室主催の「のど自慢大会」などを予定しています。歌を通じて新たな楽しみを感じていただけるよう、今後もさまざまな企画を考えていきたいと思っています。
また、私個人としては、現在は会社員として働きながら、歌うことや教えることを含めた音楽活動を行っています。しかし、近い将来、会社員を辞めて音楽だけを仕事にしたいと考えています。
ありがたいことに生徒様から多くのレッスンのご要望をいただいていますが、実際のところ私自身の時間が足りず、なかなかご希望に応えられていない状況です。
安定した収入が得られる会社員としての立場は非常にありがたいものです。産休・育休も取らせていただきましたし。しかし、「音楽を仕事にする」というのは、私がずっと抱いてきた夢でした。その夢がもう少しで叶いそうなところまで来ており、安定よりも夢に向かって走り出したいという気持ちが日に日に強くなっています。
さらに、プライベートでも2歳になった息子と過ごす時間を増やしたいという思いも大きな要因です。
実は、息子には発達障害の傾向があると指摘され、療育にも通い始めました。今後、どのようなサポートが必要になるかはまだ分かりませんが、親としてできる限りのことをしたいですし、そのためにも時間が必要です。
ストアカのレッスンは、自分で仕事の時間をコントロールできますし、オンラインレッスンは自宅で行えますので、音楽活動だけでなく、子育てとの両立もしやすいサービスだと感じています。
私はストアカに出会い、勇気を出して一歩踏み出せたことを、本当に良かったと思っています。
――:最後に、ストアカの導入を検討されている方へアドバイスをお願いします。
若狭:私もストアカで教えるようになり、オンラインレッスンを含めて、音楽教室の新たな可能性をひしひしと感じています。
オンラインレッスンで出会った方々は日本全国にとどまらず、アメリカや香港、シンガポール、遠くはアフリカの方まで、本当に世界中の方々と繋がることができました。
過去は、私自身も「これでしかできない」という固定概念に囚われていた部分があったかもしれません。しかし、歌の指導や教室の運営も、インターネットの力で新しい形を作ることができるという発見がありました。
「教室を持つ」という選択肢の一つとして、ぜひオンラインやストアカという方法も検討してみてはいかがでしょうか。皆さんの可能性が広がっていくことは、音楽を愛する者としての喜びですし、一人の母親としても、そんな世の中になっていくことを望んでいます。