子どもとの時間も、メイクの仕事も、全力で楽しむ。一人ひとりに寄り添うレッスンで、笑顔の輪を広げるメイクトレーナー、鈴木理賀先生
鈴木理賀先生は、第一線で活躍するメイクアップアーティストであり、その豊富な経験を活かし個人へメイクレッスンを提供しています。
2017年8月からストアカでプライベートメイクレッスンを開始し、コロナ禍においてはオンラインのレッスンもスタートさせました。
現在は講座日程を追加すればすぐに予約で埋まるほどの大人気講師となっています。
受講生たちのレビューを見ると、「鏡に映る自分の姿に嬉しさと驚きを覚えました。」といった感動のコメントも多く見受けられます。
また「前回は発表会用のメイクを学んだので、今回は普段のメイクを学びたい」など、何度も学びに訪れるファンも多いようです。
なぜプロのメイクアップアーティストから個人で一般の方にメイクを教えるようになったのか、プライベートメイクレッスンを始めるに至った経緯や、現在のメイク事情、そして将来の展望についてお話を伺いました。
(取材日:2023年5月22日)
家族との時間を重視してメイクで独立
ストアカ編集部(以下ーー)ー初めに、これまでの鈴木先生の簡単な経歴をお聞かせください。
鈴木理賀先生(以下、鈴木先生):新卒で外資系化粧品メーカーに入社し、美容部員の教育や全国を回ってお客様へメイクをさせていただくメイクアップサービスを担当していました。その後はフリーでファッションショーのメイクを担当させていただいたり、ブライダルでのメイクのお仕事をいただいたりと様々な現場を経験すると共に、専門学校で講師もしていました。
現在も撮影メイクのお仕事を続けながら、週末を中心にストアカでプライベートメイクレッスンを開催する他、化粧品の開発プロデュースも手がけています。
ーーメイクに興味を持ったきっかけ、仕事に選んだ理由は何だったのでしょうか。
鈴木先生:学生時代から2つ上の姉の影響もあり、髪型やメイク、ファッションに興味を持つようになったことが大きかったと思います。また、当時はスーパーモデルブームと言われるくらいたくさんのトップモデルが活躍していた時代で、その影響もありました。スーパーモデルや海外セレブのメイクが好きになったタイミングで、外資系のメイクブランドが日本に上陸したと聞いて、自分自身もそういった表現の幅を追求したいと感じ、「メイクを仕事にしたい!」と強く思うようになったのです。
ーー外資系化粧品メーカー勤務という目標が叶ったにもかかわらず独立を選択された理由を教えていただけますか。
鈴木先生:家族や周りのサポートもあり、地方や海外出張などの仕事もたくさん経験させていただきましたが、20代で結婚し、2人の子育てをする中でフルタイム勤務に限界を感じたことが独立の決め手となりました。
特に子どもが小学生になったタイミングで「学校に行きたくない、ママと一緒にいたい」と泣かれた時に、仕事をしていることで子どもに寂しい思いや我慢をさせてしまっているのではないかと考えたことが大きかったです。
それでも、ずっと頑張って仕事をしてきていたので、仕事をやめるとキャリアが中断してしまうことに不安を覚えました。
どうすれば家族との時間を大事にしつつ、メイクの仕事を続けられるかと考えた結果、フリーでメイクアップアーティスト兼トレーナーとしてのキャリアを積んでいく決断をしました。
ーー独立にあたっては不安などはありませんでしたか。
鈴木先生:もちろんありましたが、働く日数を減らしてでもメイクの仕事を続けていきたいと思っていた自分には最善の選択だったと今でも信じています。
独立したことで家族と過ごす時間が増え、フルタイムで働いていれば難しかったであろうPTAのお仕事や子どもたちの習い事の送迎もできるようになりました。
今は子どもたちが大きくなってきたので、メイクレッスンの仕事も増やせたらと思っています。フリーランスの場合、自分のライフステージに合わせてベストな働き方をその都度選択することができます。独立して本当によかったと感じています。
受講する方が思いもつかないメイクを提案し、笑顔で帰る姿を見るのがやりがい
ーープライベートレッスンを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
鈴木先生:プライベートメイクレッスンを始めるきっかけになったのは、仕事でお付き合いのあった化粧品会社を経営している方との出会いです。その方に、都内のオフィスをレッスン会場に使っていいから、個人向けにメイクレッスンをやってみては?と提案していただいたのです。
私自身、メーカー勤務時代に行っていたメイクサービスが楽しかったので、メイクを一般の方に教える仕事ができたらと思っていたタイミングでした。せっかくご厚意で場所をお借りできるなら、と始めてみることにしました。
ーーメイクアップアーティストとして撮影のメイクを行う仕事と、メイクレッスンで個人にメイクを教える仕事とでは楽しさややりがいはやはり異なるのですか?
鈴木先生:一般の方でメイクレッスンを希望される方は、何かしらお悩みを抱えている方が大半です。だからこそ、その悩みが解決された時喜んでいただけることが多く、やりがいもその分大きいですね。
また、私がするメイクが好きだからとリピートで通ってくださる方がたくさんいらっしゃったこともやりがいに繋がっています。
一度、生まれつきお顔にあざがある方をメイクさせていただくことがありました。その方はあざを完璧に隠そうとすると厚塗りになって不自然なメイクになるというお悩みを抱えていました。
そこで、カバーをできる限りはしつつ、目元のメイクを華やかにすることであざに視線がいかないようにするメイクを提案したのです。
そうすると鏡越しに見たその方の表情はキラキラしていて、涙ぐみながら喜んでくれました。最後は笑顔で帰っていただくことができ、改めて自分の仕事にやりがいと喜びを感じました。
撮影のメイクと比べると、個人に対するメイクレッスンはより直接的な効果を感じることができるため、その喜びややりがいも大きいです。ただし、どちらの仕事もそれぞれの魅力があり、異なる形で満足感や充実感を得ることができます。
一人ひとりのテンポに合わせて寄り添うメイクレッスンを
ーーこれまで2,600名以上の方にメイクレッスンを行われてきたとのことですが、どういった受講者さんがいらっしゃるのでしょうか?
鈴木先生:20代の方から50代の方まで幅広い女性の方々にレッスンを受けていただいています。高校生や大学生の方だと、メイクデビューということでレッスンを受けていただくことが多いです。転職の際に環境の変化と共に心機一転、新しいメイクに挑戦したいとレッスンに来てくださる方もいれば、誕生日などの節目に年齢に合ったメイクをしたいと来てくださる方もいます。育休からの復帰などのタイミングで短時間で綺麗になりたいからとメイクレッスンに来てくださった方もいました。
また、3ヶ月に1人程度とかなり数は少ないですが、男性の受講者さんもいらっしゃいます。直近ですと、婚活するにあたって少しでも印象よく見えるようメイクに挑戦したいという男性の方がメイクレッスンを受講してくださいました。
ーー鈴木先生のレッスンは、半顔は先生が、残りの半顔は受講者さん自身が教えていただいたアドバイスをもとに実際にメイクするのが特徴的だと思います。その他、鈴木先生のメイクレッスンならではのポイントはありますか?
鈴木先生:受講者さんには事前にメッセージで、いつものメイク姿でレッスンに来てくださいとお願いしています。普段どんなメイクをされているかを実際に確認することで、その方の好みを確認。そうすることで、より理想に近いメイクを提案することができていると思います。
ーー確かに普段のメイクを実際に見ていただいた方が自分のイメージに近いメイクを提案してもらえるような気がします。メイクを教える際、意識されていることや大事にされていることはありますか?
鈴木先生:一番大事にしていることは、受講者さんのテンポに合わせて会話を進め、何を求めているか、どんな悩みを抱えているかを引き出すことです。メイクレッスンで求められていることは、ただ受講者さんを綺麗にすることではありません。好みや悩みにあったメイクを提案すること、そして実際にご自身でメイクできるようサポートすることです。
だからこそ、工程ごとにこまめに仕上がりの満足度も確認することも意識しています。少しずつ調整しながら進めることで最終的に受講者さんが満足するメイクに完成することができるのです。
ーー鈴木先生の受講者さんは年齢層も幅広いので、悩みや好みも様々なように思います。
鈴木先生:そうですね。私自身も様々な年代の悩みや希望に対応できるよう、日々情報のアップデートに努めています。直近ですと、コロナでオンラインミーティングが増えたことによってYouTubeなどで注目を集めた中顔面短縮メイクがあります。
動画などで真似しようとしたけどうまくできないから対面のメイクレッスンで学びたいといった相談にも対応しています。
また、若い方に人気がある韓国メイクにも対応ができるよう、デパコスやプチプラコスメに加えて韓国メイクもご用意。ご自身の手持ちのコスメでベストなメイクをできるようになりたいと普段使用しているコスメを持ってきてくださる受講者さんが多いですが、新しいメイクや新しい色に挑戦したいといった方のサポートもさせていただきます。
ーー日々たくさんの受講者さんとお会いされていることかと思いますが、その中でも特に印象に残っている受講者さんとのエピソードがあれば教えてください。
鈴木先生:最近のことで印象に残っているのはカナダ在住の中国人の方がメイクレッスンを受けにきてくれたことです。メッセージで日本語を話せないけれどレッスンを受けたいと連絡いただき、相談した結果、日本語が少し話せる旦那さんが通訳として一緒に来ていただけることに。
わざわざレッスンを受けに来てくれた理由を聞いたところ、「カナダでメイクレッスンを受けると切れ長の目を強調するようなザ・アジア人のメイクしか教えてくれないから日本人がしているナチュラルメイクを学びたかった」と教えてくれました。
言語の壁はありましたが、適宜旦那さんに通訳していただきながらレッスンを進めることができ、最後に喜んで帰っていただけたので本当によかったです。
コロナで対面だけではなくオンラインレッスンも対応
ーーコロナ前とコロナ後での受講者さんに変化はありましたか?
鈴木先生:受講者さんの年齢層などには大きな変化はありませんが、コロナ禍はオンラインレッスンに切り替えていたことから、地方の受講者さんが増えたのは大きな変化でした。
コロナ前からコロナ後で受講者さんのメイクに関するお悩みは少し変わったと感じています。例えば、コロナ禍はマスクを着用した状態での最適なメイクのご相談があったり、コロナ後はマスク生活で荒れてしまったお肌を考慮したメイクやマスクを外すと顔が長く見えるたるんで見えるなどのご相談も。マスク生活が長かったことから、メイクの流行りが分からないといったお悩みやどうやってメイクしていたか思い出せないから学びたいといった方も印象に残ってますね。
ーーコロナが長引いたことで、対面レッスンへ戻すタイミングを決めるのも難しかったかと思います。
鈴木先生:そうですね。緊急事態宣言が終わり、ある程度落ち着いてきたタイミングからは、できるだけ受講者さんのリクエストに答えられたら、という思いで、対面レッスンかオンラインレッスンかを受講者さんに選んでいただく形でレッスンの提供をしばらく続けていました。
ゴールデンウィークが明けて、コロナウイルスの感染症の区分が5類に移行されたことで、対面レッスンが主流に戻ってきましたが、引き続き受講する方のご希望に合わせてオンラインレッスン対応も続けられればと思っています。
次なる挑戦はグループメイクレッスンの開講
ーー今後についても教えてください。新たに挑戦されたいこと、目標とされていることなどはありますか?
鈴木先生:これまでメイクに関しては幅広く経験させていただいたからこそ、今の自分にできることは何だろうと考えた時に思い浮かぶことは、2つあります。
1つは肌やメイクに関して悩みを持つ方のサポートを商品開発の側面から行うこと。現在行っているオリジナル化粧品のリニューアルをできるだけ迅速に進めて、より多くの方に私がプロデュースした商品を届けていきます。
もう1つは、より多くの方にメイクレッスンをお届けすることです。これまではプライベートレッスンを中心に開催していましたが、今後はグループレッスンも検討しています。
年齢別やお悩み別でグループレッスン講座ができれば、受講する方同士が悩みを共有したり、お互いにアドバイスしあったり、マンツーマンにはないメリットも期待できると考えています。コロナもやっと落ち着いてきたので、年内にスタートできるよう、準備を進めたいと思っています。
ーー今日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました!今後の益々のご活躍をお祈りしております。