「Excelは人生のドラマが詰まったツールです」業務効率を叶えるオンリーワンの学びを|パソコンの家庭教師 岩間美香先生
パソコンの家庭教師として、Excel(エクセル)やAccess(アクセス)などオフィス系ソフトの使い方を教え、業務の効率化を実現している岩間美香先生。教える活動をきっかけに会社員からキャリアチェンジし、現在は「ITの町医者」として、会社員を中心に経営者などのビジネスパーソンから厚い信頼を寄せられています。
ストアカでの活動は2019年に開始。これまで延べ4,000人以上の生徒に「なるほど!」の学びを提供してきました。ソフトの使い方だけでなく、生徒一人ひとりが抱える悩みや疑問を解決し、それぞれの目標や夢の実現を支援することができるのは、岩間先生がこれまで積み重ねてきたキャリアがあったからこそ。実務に寄り添ったレッスンは、教科書どおりに進めるパソコン教室とは一線を画しています。
一見ただの表計算ソフトであるExcel。しかし、その表計算シートの奥には、生徒一人ひとりの目標や課題、さらには人生そのものが詰まっていると岩間先生は語ります。「かつて数学が苦手だった方にこそExcelを知っていただきたいですね」と、朗らかな笑顔で話す岩間先生に、教える活動を始めたきっかけや講座について伺いました。
(取材日:2024年11月22日)
会社員として積み重ねた日々が「教えるスキル」に
ストアカ編集部(以下、――):現在は講師業をされていますが、もともとはどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
岩間美香先生(以下、 岩間):大学卒業後は、データベースを開発する会社で見習いエンジニアとして働き始めました。その後、人材派遣会社でコーディネーター兼営業を経験し、次に大手通信会社へ就職しました。
通信会社での最初の仕事は、物流センターと在庫調整部門の課題解決をお手伝いすることでした。在籍中はデータの抽出・分析、業務改善、サービスの立ち上げなど、さまざまな経験を積むことができました。
――:さまざまなキャリアを重ねてこられたとのことですが、現在の「教える活動」の基盤となっているお仕事は、どのような経験に由来しているのでしょうか?
岩間:通信会社での経験が一番大きいかもしれません。ただ、さまざまな経験が重なり合っている部分もあるので、一概には言えませんね。
たとえば、通信会社ではデータ分析や業務改善、サービスの立ち上げなど、プロジェクト全体を俯瞰して進める仕事をしていました。一方で、機械に関する知識や経験は最初のデータベース開発会社で得たものが多いです。
また、教えることに関して言えば、大学時代に勤めていた塾講師のアルバイト経験がベースになっていると感じています。大学生時代から会社員時代を通じて、自分自身も十分に学びながら、人に伝える経験を積む機会が多かったんです。その経験が、現在の活動につながっていると思います。
――:業務を通じて、どのようにスキルを身に付けられたのですか?
岩間:ストアカで教えているExcelについても同じですが、業務の中で自然と学ぶ機会が多かったと思います。特に、直属の上司が非常に優秀な方ばかりで、その方たちが作った仕組みが会社全体に取り入れられていく様子を間近で見ていました。
最初は自分にできないことも多く、「勉強しなければ」と思う場面が頻繁にありました。そのたびに、資料やシステムを開いて試行錯誤しながら学ぶ日々でした。そうした経験を何度も繰り返すうちに、徐々にできるようになっていきました。
そして、できることが増えると、今度は業務のスピードも求められるようになりました。「もっと速く、もっと正確に」というプレッシャーの中でスキルを高める必要性を実感し、向上していったのだと思います。
――:そこから、ストアカで講座をするようになったご経緯は?
岩間:一番のきっかけは、友達からストアカを紹介されたことです。その友達自身は先生ではなく、生徒として英語を習うためにストアカを利用していたのですが、「岩間さんだったらストアカで教えられるんじゃない?」と思い立ったらしく、「やってみたら?」とお茶をしながら軽いノリで提案されてビックリしました(笑)。
ただ、私自身も社会人として10年近くのキャリアを積んでいたので、社内では担当業務以外のことでも「教えてほしい」や「代わりに作ってほしい」と頼まれることが日常茶飯事でした。
その経験を通じて、自分のスキルをもっと多くの場面で活かしてみたいという想いも芽生えていました。
それで、実際にストアカに講師登録をして、自分の勉強も兼ねて教える活動をスタートしてみることにしました。
具体的な解決策を教えるマンツーマンのExcel講座
――:ストアカでは、どのような講座からスタートされたのでしょうか?
岩間:現在もメインで行っている「Excelの個別講座」からスタートしました。会社員時代から周りの人に「使い方がわからない」と相談されることが多かったので、これは講座として役に立つのではないかと思ったんです。特に、業務で困っている方が多いと日々実感していましたので。
――:講座内容はどのように考えられたのですか?
岩間:ヒントとしたのは、会社員時代の経験が大きいと思います。私が勤めていた会社では、「相手の話をよく聞いて、何に困っているのかをしっかり把握し、それに応じた解決策を提供することがビジネスの信頼につながる」と常に教えられていました。この考え方が、私の中に根付いています。
講座を作る際も、相手の立場に立って「どの部分が一番困っているのか」を意識しながら内容を構成しました。そうした背景が講座のベースになっていると思います。
――:生徒は、どのような理由で受講される方が多いのでしょうか?
岩間:年齢層は幅広いですが、特に「一人ではちょっと難しい」と感じている方が多いですね。最初は「こんなことで困っているんです」と気軽に相談される形で始まり、「じゃあExcelでこういう関数を使えばいいですよ」と具体的な提案をして進めていくことが多いです。
たとえば、「Excel初心者なので基本的なことを教えてください」というよりは、業務で具体的な課題を持っている方が多いです。関数自体はある程度知っていても、それをどう活用したらよいかがわからず、実際のデータを持ってきて「もっと良くする方法はありませんか?」と相談され、それを教えるケースが多いですね。
――:実務的な活用を目的に来られる方が多いということですね。
岩間:そうですね。業務効率化やデータ分析を目的に受講される方がほとんどです。
たとえば、受講者が「これは自分で作ったExcelなんですが、もっと効率的にできる方法を教えてほしい」といった形で持ち込まれることがあります。その場で「この関数を使うと良いですよ」とアドバイスしながら、それを使えるようにレッスンしていきます。
ですので、講座は基本的にマンツーマンで開催し、一人ひとりの課題に合わせてカスタマイズしています。分かりやすく言えば、パソコンの家庭教師のような形ですね。
――:受講者の方は、会社員の方が中心ですか?
岩間:はい、全体の8割ほどが会社員の方です。ただ、人生の大きな転換期を迎えている方が多いと感じています。
たとえば、転職や配置換え、経営方針の変更に伴い「新しいスキルが必要になった」「新しいことをするために前の業務を効率化する必要がある」といった理由で受講される方が多いですね。
30代後半の方で「これまで現場で働いていたけれど、内勤や企画業務にキャリアチェンジすることになった」とか、営業部門から企画部門、経理部や事務部門などへ異動が決まった方もよくいらっしゃいます。
また、マネージャー職の方も多いです。部下の方が作成した資料をもとに会議で話す立場になると、「自分はこの資料の作り方が分からないが、部下に聞くのも気が引ける」という方も少なくありません。「今さら聞けない」という理由で受講されるケースが多いです。
残りの2割は経営者の方です。「誰にも聞けない」というお悩みを抱えていらっしゃる方もいます。たとえば、税理士さんなどから「Excelも使えないのに、数字の管理をどうやってするんですか」と指摘され、急いで学びに来られる方もいらっしゃいますよ。
――:それぞれの状況や課題に応じて、受講される理由があるのですね。
岩間:はい。特に30代後半から40代の方が多いですね。仕事でExcelをどう活用するかが求められるタイミングで受講される方が増えています。
これまでのキャリアとは異なる業務に直面し、「もう一度基礎から学び直したい」という方や「仕事の効率を上げたい」という方が多い印象です。
皆さん、手数を少なく業務を進めるため、Excelの活用方法を模索していらっしゃるように感じます。
「分からない」の本質的な問題を紐解いて「なるほど!」につながる学びを提供
――:教えるうえで工夫していることはありますか?
岩間:私の講座では、「最後に必ず持ち帰れるものを用意する」というコンセプトで進めています。たとえば、レッスン中に学んだ数式や関数を実際に使える形で提供し、それをそのまま職場で活用できるようにしています。学んだ内容をすぐに実践に移せるような講座設計を心がけています。
また、基本的にレッスン1回ごとに明確なゴールを設定しています。たとえば、「関数を使ってデータを整理できるようになる」といった具体的な目標を決めて、それに向けて進めています。
生徒さんの中にはリピーターの方も多いですが、継続受講を前提としているわけではありません。それぞれの方に「今困っていること」や「どこまでスキルを伸ばしたいか」をお伺いし、その場で達成可能なゴールを提案しています。
たとえば、Excelに触れたことがない方で「関数を使えるようになりたい」という希望があれば、その方に合った現実的な目標を設定するようにしています。
こうしたなかで、継続受講される方の多くは「できることが増えると楽しい」という成功体験を積むことが再受講の動機になっているようです。「1度一緒にやって覚えたら、同じことが次はできる」という安心感が自信につながるとよくおっしゃっていただいています。
――:生徒さんがつまずいたりした場合は、どのようにフォローしていますか?
岩間:つまずくことはよくありますが、それは自然なことだと思っています。つまずいた部分を何度も繰り返し練習することで克服していただいています。
たとえば、同じ関数を使った課題を少しずつアレンジして提供し、何度も練習を繰り返します。その中で特に大事なのは、生徒さんが「どこで間違えたのか」「どうすれば正しくできるのか」をご自分で気づけるように導くことです。
たとえば、「セルを選ぶ際のミス」に気づいてもらうために、「どのセルを選んでいるかをしっかり確認してください」と指摘したり、別の視点で考えられるよう促したりしています。私は「覚えるまでが勝負」という意識でレッスンを行い、焦らず一緒に進めることを大切にしています。
――:生徒さんとのやり取りの中で、特にやりがいを感じる瞬間はどのようなときですか?
岩間:やっぱり、「できた!」と生徒さんが実感された瞬間ですね。つまずいていた部分を一緒に解決できたとき、「やった!」という気持ちになります。
生徒さんが「ここがわからない」と言っている部分が、実は本質的な問題ではないことも多いので、最初はしっかりお話を聞くようにしています。
言葉では説明しきれない問題を抱えている場合もありますが、その問題を紐解いて、具体的な解決策を提案し、それがうまくいったときは本当に嬉しいですね。「なるほど!」と納得された瞬間は、やっぱりやりがいを感じます。
――:課題解決の力を発揮できるのは、どのような経験が背景にあるのでしょうか?
岩間:やはり、これまでの会社員時代の経験が大きいですね。システムの設計や業務改善のプロジェクトに携わっていたので、問題の構造を把握し、解決策を組み立てる考え方が身についています。その経験が、講師として生徒さんにアプローチする際にも役立っています。
さまざまな職場での経験が蓄積されているので、「こういうパターンもある」という知識が活用できるのは大きな強みです。どのような状況でも適切なアプローチを見つけられることが、課題解決につながっているのだと思います。
「数学が苦手だった人」にこそ受けて欲しい。Excelというツールの先には、それぞれの人生がある。
――:企業を退職して、現在はフリーランスとして活動されているのですね。
岩間:そうですね、いつか独立したいという思いはずっとあって、それが実現した形です。実はもともと音楽をやっていて、ピアノを弾いています。音楽の学校に行こうかとも思っていた時期がありましたが、会社員として働いていると、どうしてもそういった時間を作るのが難しかったんですよね。
また、会社は大規模だったので、いろいろな業務を経験させてもらいました。ただ、どうしても役割が固定されてしまう部分があり、新しい技術や事業に携わる機会が限られてきました。
そうした中で、「今の立場では自分が満足できる範囲まで到達した」と感じ、「次のステージに進みたい」とも思いました。ありがたいことに、前の会社とも良好な関係を保ちながらキャリアチェンジを進めることができました。
20代、30代は会社員として一生懸命働きましたが、これからは「自分で選べる仕事ができるようになりたい」と考えるようになりました。その中で、「時間を自由に使える働き方をしたい」というのが独立を考えた理由の一つです。
――:講師として活動する中で、特に良かったと思うことは何でしょうか?
岩間:一つは経済的に自立した道筋ができたことです。もちろん、お金の面も重要ではありますが、それ以上に、生徒さんとお話しする中で「この方たちは私が知らない分野のプロフェッショナルなんだ」と感じる機会が多く、新しい視点や知識を得ることができるのは本当にありがたいことです。
たとえば、講座ではExcelの使い方を通じて、部下への接し方や海外とのコミュニケーションの方法についてお話を伺うこともあります。「経営者の方々はどんな視点で物事を考えているのか」を学ばせていただけるのはとても貴重な体験です。
また、会社員の方々が昇進を目指して一生懸命取り組んでいる姿を見ると、その熱意に刺激を受けることも多いですね。
――:Excelというツールを通じて、生徒さん一人ひとりのドラマがあるのですね。
岩間:本当にそうなんです。Excelはただのツールのようでいて、その中にそれぞれの業務や人生が詰まっています。
たとえば、経理の方は正確さが求められる職業柄、効率化に悩むことが多いですし、営業の方は数字をどう予測に活かすかという課題に直面しています。Excelを使いこなすだけでなく、それを通じて業務の本質や人生の課題に向き合うという、ある意味ドラマのような瞬間に立ち会えることが多いです。
――:先生の講座は、一般的なパソコン教室とは違う印象を受けますね。
岩間:よく「Excelしか教えていないのに不思議な講座」と言われます(笑)。たとえば、「A列を選んで足し算をしましょう」といった基本的な操作を教えているだけなのに、その背景には、生徒さん一人ひとりの業務や人生が詰まっています。同じ操作でも、「なぜA列とC列を足すのか」という理由が人によって違うので、教えていて本当に面白いですね。
――:今後、講座を通じてチャレンジしてみたいことはありますか?
岩間:現在の講座では、これまで通り受講者の方々の意見をしっかり伺いながら、一人ひとりに合ったサポートを続けていきたいと思っています。
また、時代の変化に伴い新しいツールがどんどん増えているので、そうしたツールを取り入れながら、業務効率化の方法もお伝えしていきたいですね。
さらに、子ども向けのプログラミング講座にも注力していきたいと思っています。これからの時代、ITスキルは非常に重要ですし、子どもたちにも楽しみながら学べる場を作っていければと考えています。
――:最後に、Excelを習ってみたいと思っている方や、なかなか講座参加へ一歩踏み出せない方へメッセージをお願いします。
岩間:これまで受講された生徒さんの中には、講座の最初に「私、数学が苦手なんです」とおっしゃる方が多くいらっしゃいました。でも、Excelって実は数学というより、パズルゲームのようなものなんです。
たとえば、1つのセルを選んで、次にもう1つのセルを選んで、その間に計算式を入れると答えが出ますよね。まるでパズルゲームのように、組み合わせることで結果が出る感覚です。複雑に見えるかもしれませんが、技術や操作自体は意外とシンプルです。
そして、Excelができるようになると、業務の流れや論理的な考え方も自然と身についてきます。たとえば、「ここにこう入力すると計算される」「これをこうしたら結果が出る」といった考え方ができるようになり、それが業務効率の向上に繋がります。
Excelは、やりたいことを実現するための便利なツールです。「一人では難しい」と思うことがあれば、ぜひ講座に参加してください。「覚えるまで」一緒に進めますので、気負わずにいらしてください。