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産後5ヶ月で、赤ちゃんとレッスンに復帰。生徒の理想の一杯のため、対面指導にこだわり続けるラテアート講師 額田美緒先生

本格的なマシンを使ったものから初心者でも楽しめる手軽なものまで、ラテアートの魅力を伝えている額田(ぬかだ)先生。大学卒業後は飲食業界に就職し、将来の夢である「カフェ開業」を目指して“修行”を積まれていました。キャリアチェンジのきっかけとなったのは、従業員へのラテアート指導。接客の合間に行っていたプチレッスンを通して教える活動の魅力に気づき、2016年からキャリアスクールの講師として、本格的にレッスンをスタートされました。
2022年にはご出産され、1児の母としての顔も持つ先生。開講当初から対面指導にこだわり、なんと現在もお子様同伴で対面レッスンを続けられています。
無理だと諦めそうな局面も、まずやってみよう!と挑戦し続ける先生。そのバイタリティの源はいったい何なのでしょう?ラテアートに対する想いや講座へのこだわりについて、詳しくお話していただきました。
(取材日:2024年3月8日)

インタビューに答えてくれた先生
額田 美緒先生(ぬかだ みお先生)
ラテアート講師
大学卒業後、飲食店勤務を経て専門学校でラテアート技術を習得。その後カルチャースクールにてエスプレッソマシンを使ったラテアートレッスンをスタートさせ、2017年よりストアカ講師へ転身。誰でも手軽にラテアートを楽しめる人気講座以外にも、カフェ関係者を対象とした本格的なラテアートが学べる専門講座まで幅広く、対面にこだわりレッスンを行っている。講師業に加え、1歳のお子さんの母として多忙な日々を贈っている。
【ストアカ先生ページ】
https://www.street-academy.com/steachers/145058

いつか自分でカフェをやりたい!夢のため修行を重ねた新卒時代。


ストアカ編集部(以下、――)今回は、額田先生がストアカ講師として活動を始める以前のお話からお聞きしていきたいと思います。
現在はラテアートを教えられていますが、以前からコーヒーに関するお仕事をされていたんですか?

額田:講師を始める前は、レストランなどで飲食業に従事していました。大学時代からカフェやラテアートが好きで「いつかカフェを開いて、おばあちゃんになってもお店を続けるんだ」という夢がありました。卒業後に飲食業界を選んだのも、カフェ開業のために必要なプロセスだと考えていたからです。レストランに就職し、“修行”を積みました。

レストランで働いていた頃の先生

――自分のお店を持つために飲食店で働かれていたなんて、ずいぶん具体的なプランをお持ちだったんですね!ラテアート技術は、勤務先で習得されたのですか?

額田:いえ、ラテアート技術は、社会人向けの専門学校へ通いながら習得しました。将来のための修行期間とはいえ、働いているうちに大好きなカフェ文化から遠ざかっているように感じて……趣味としてでもラテアートを楽しめないかと考えて通学を決めました。

――働きながら学ぶのは大変ですよね。不安や迷いはありませんでしたか?

額田:カフェ経営についても学べる学校だったので、将来的に役立つだろうと考えると、迷いはありませんでした。職場に相談して勤務日数を減らし、週3のクラスに2年間通いました。働きながら学んでいたので、どうしても出席が難しいときもありましたが、それでもラテアートの授業だけは、どんなに疲れていても必ず出席していましたよ。

大変でしたが、働きながら学んでいたからこそできる経験もありました。ラテアートを描いてお客様にご提供すると、すごく喜んでもらえるんです。
お客様の喜ぶ姿を想像しながらラテアートを描く時間も幸せだし、カフェで楽しむものだったラテアートを自らお客様に提供するようになり、それまで以上に「ラテアートってすごい!」と実感し、学ぶ意欲が高まりました。

それだけではありません。ラテアートをお客様に提供している様子を見た他のスタッフから、わたしにもラテアートできるかな?と声をかけられることが増えました。そこで、従業員やアルバイトスタッフに向けてプチレッスンをやってみたんです。それが、とても好評でした。みんなラテアートを楽しんで描いていて、できた!と喜んでいて……その反応が、自分でも意外なくらいうれしかったんです。

当時の同僚のみなさんとの一枚(前列左が先生)


――その経験からラテアートを教えたい、という気持ちが芽生えたのですね。

額田:ラテアートを描くだけでなく、教えることで喜んでいただける。これは大きな発見でした。まさか自分が「教えてくれて、ありがとうございます」と言われるなんて、想像もしていませんでしたから。職場でのプチレッスンを重ねるたび、ラテアート技術を教えて、喜びを分かち合いたい!という気持ちがどんどん強くなっていきました。

ラテアートを通して笑顔を増やしたい!迷わず講師へキャリアチェンジ。


――職場での指導が原点になっていたのは意外でした!その後も職場でプチレッスンを続けていたんですか?

額田:定期的に続けていたのですが、お客様の来店状況次第でプチレッスンの時間をとれないこともありました。通常業務が忙しく、教える機会を失ったまま時間が過ぎていくにつれて、自分の中にあるモヤモヤが大きくなっていると気がついたんです。そこで、思い切って自分で教えられる場所を探しはじめました。

――すごい行動力ですね!教える仕事に、そこまでやりがいを感じていたのですね。

額田:百貨店やショッピングセンターに出店しているカルチャーセンターに、ダメ元で「ラテアートを教えられます」と応募してみました。すると、思っていた以上に講座に関心を持ってくださる方がいたんですよ。もしかしたら仕事にできるかもしれない。と具体的に考えはじめたのはこの頃です。


カルチャーセンターの講師として働き始めた当時の先生

――もうすでに気持ちは講師に向かっていますね。当時はレストランで働きながら副業という形で講師をされていたんですか?

額田:はい。最初はラテアートを学びたい方がどのくらいいらっしゃるのかわからなかったので、副業として教える活動をスタートさせました。ですが、カルチャースクールで講座を持ってからは、比較的早い段階で「これは仕事にできるかもしれない」と、確かな手応えを感じていました。しばらくはレストランの仕事も続けていましたが、生徒さまの数が増えはじめた頃、すでに会社には退職を考えている旨を伝えていたので、頃合いをみて本格的に講師として活動をはじめました。


自分の教室をスタートし、講座の内容も大きくアップデート


――カルチャーセンターから、ストアカを利用したレッスンに切り替えたのは、なにかきっかけがあったのでしょうか?

額田:生徒さまから、講座のコマや場所が限られているので、なかなかレッスンに出られないという声が寄せられました。わたしとしても、レッスンのたびにエスプレッソマシンを持ち運び、道具を準備するのも大変でしたから、生徒さんが通いやすい場所に教室を借りようと考えました。ストアカというプラットフォームを知ったのは、ちょうどその頃ですね。


講師活動の拠点をストアカに移したことで、より生徒の目線に立ったレッスンができるように。


――教室を借りるとなるとスペースのレンタル料などもかかりますし、勇気がいりますよね。

額田:正直、とても不安でした。でも、ストアカには「受けたい登録」といって、生徒さまが受けたい講座を事前に登録できる機能があるんです。この受けたい登録の数が安心材料になり、一歩を踏み出すことができました。

――初めて自分の教室でレッスンしたときのことを覚えていますか?

額田:覚えています!1組のご夫婦に参加していただきました。講座の内容は、家庭用のエスプレッソマシンでラテアートをつくるというもので、1杯目はくまちゃんのラテアートを練習して、2杯目には好きなアートを自由に描いていただきました。


先生のご自宅にあるエスプレッソマシン
先生作「スワン」のラテアート


――エスプレッソマシンでエスプレッソを淹れた経験のない初心者でも、ラテアートを描けるようになるんでしょうか?

額田:生徒さまは、エスプレッソマシンを触るのも初めての方が8割です。
ストアカ講師を始めた当初は、家庭用のエスプレッソマシンを使ったラテアート講座をメインで教えていたのですが、受講される生徒さまは、家にエスプレッソマシンがない。もしくは購入する予定もない方がほとんどでした。でも、ご自宅でもラテアートを楽しんでいただきたいですよね。どうにかして、もっと簡単な方法でラテアートを描けないか?と試行錯誤して、100円均一で揃う道具だけで作るラテアート講座を考案しました。
 

――それならできそうな気がしますね。ハードルが一気に下がりました。

額田:ミルクフローサーという道具を使えば、エスプレッソマシンがなくても簡単にフォームドミルクが作れるんです。
 

実際に講座で使用しているミルフフローサー。


ベースにはエスプレッソではなく、粉末のインスタントコーヒーや抹茶、ココアなどを使います。ラテアートは好きだけれど、エスプレッソやコーヒーはそこまでという方も案外いらっしゃるので、本格的なエスプレッソマシンを使うレッスンよりも、こちらの講座のほうが人気なんですよ。

――苦みが得意でない方やお子様でも、気軽にラテアートが楽しめますね!

額田:技術や知識を身に着けたいのではなく、ラテアートを描く体験をしてみたいという方にも来ていただけるようになり、生徒さまの幅が広がりました。道具はこちらで用意するので、何も持ってこなくて大丈夫。手ぶらで気軽に受講していただけます。

――ハードルが下がったことで、ラテアートの楽しさを、より多くの方に体験していただけるようになったのですね!とはいえ、カフェで見かけるかわいいハート模様を描くのはむずかしそうですよね…

額田:初心者の方は、ミルクを注ぐ際に思った形にならない、というステップで躓きますね。カフェで目にするミルクを注ぎながらハートやリーフ柄を描く技術は、実はとても難易度が高く、習得するまでかなりの練習が必要です。
でも、わたしの初心者向けレッスンでは、爪楊枝を使ってお絵かきをしていく方法を採用しているので、失敗しても大丈夫です。爪楊枝でちょいちょいっと修正していけば、思った通りの柄が描けますよ。


ラテアートがはじめての方でも、こんなにかわいく仕上がります。

――爪楊枝を使って描く手法は、むしろ上級者向けだと思っていたので驚きです。

額田:そう思われている方は多いですが、初めてでもかわいいくまちゃんを描ける方がほとんどです。ほかにはミルクの泡立てが難しいという声も訊きますが、コツさえわかればきれいにできますよ。ほんのちょっとのコツなので、そう難しくはありません。レッスン時間は一回あたり1時間半ですが、みなさん時間内にしっかり習得されています。

――手先が器用でなくても、安心して受講できそうですね。具体的には、どのような目的で受講される生徒様が多いのですか?

額田:友達や家族と楽しい時間を過ごしたいという方や、カフェ勤務の方、カフェの開業を目指している方など、かなり幅広いです。レッスンはリクエスト制で開講しているのですが、リクエストをいただいた際に詳細をお聞きして、初心者向けの簡単なレッスンにするか、エスプレッソマシンを使うレッスンにするかを決めています。 

もともとご自身で勉強されている方には、最初からリピーター向けのレッスンをご案内することが多いですね。初心者の方でも、エスプレッソマシンを使って練習したい方もいますから、レッスン中にもお話をお聞きしながら目的に合わせてフレキシブルに内容を変えています。

――本気の方もいらっしゃるんですね!

額田:最近、そういう方は増えました。キッチンカーで開業された方、開業準備中で店舗物件を探している方がいらっしゃいますよ。


仕事も家事も子育ても、できない理由を考える前に、ベストを目指して突き進む


――講師へのキャリアチェンジから8年となりましたが、何か大きな変化はありましたか?

額田:お陰様で生徒さまに恵まれ、楽しく幸せな講師生活を送っています。プライベートでは5年前に結婚をして、昨年出産を経験しました。


お子さんを抱っこする先生。

ストアカで教え始めた当初は教室用の物件を借りていたのですが、結婚後は自宅を教室代わりにレッスンをしています。
 

――産後、再びレッスンを始めるときに不安はありませんでしたか?

額田:以前から通ってくださっている生徒さまには、産後落ち着き次第復帰する旨をお伝えしていましたが、実際に息子がうまれて、本当にできるのか?と不安でした。保育園に預けることは考えていなかったので、レッスン中にぐずったら?などとぐるぐる考えていました。産後5ヶ月頃から復帰したのですが、復帰後初のレッスンが常連の生徒さんだったこともあり、事前にグズってしまう可能性があり、レッスン終了時間が前後することをお伝えして、スタートしました。

――赤ちゃんと一緒にレッスンをすると決めて、実行する。なかなかできることではないと思います。

額田:まぁ一回やってみて、だめだったらまた考えようと見切り発車でスタートしましたが、想像していたよりずっとスムーズにレッスンができたんです。


赤ちゃん同伴で講座を再開。息子くんはベビーサークルの中で遊んでいます。


生後5ヶ月というタイミングも、動き回るようになってからよりレッスンしやすいだろうとポジティブに捉えていました。生徒さまに事前にお伝えしてご協力いただく必要はありますが、意外といけるかも、という手応えがありました。

――一発勝負で決まるラテアートは、集中力が必要な作業ですよね。お子さんが横にいる状態で、普段の実力を発揮する秘訣はありますか?

額田:ギャン泣きが始まると集中力も途切れてしまうので、レッスン中に機嫌よくすごせるよう、事前にたくさん遊ぶ時間をとるようにしています。生徒さんがやさしい方ばかりというのもあるんですけど、泣き出すことはほとんどありません。

保育園に預けるという選択肢も良いとは思うのですが、今のスタイルを続けていこうと考えています。1歳3ヶ月になったので、以前とは比べ物にならないくらい動きますし大変な部分もありますが、受講していただく生徒さまの中には、レッスンだけでなく赤ちゃんに会えるのも楽しみにしていると言ってくださる方もいて、やさしい言葉やお心配りに救われています。

――教える活動を始めた当時から、対面講座にこだわっていらっしゃいますよね。オンラインという方法があるなか、対面にこだわるのはなぜですか?


赤ちゃんにとって、教えるママの姿が日常に。

額田:わたし自身、学校に通っていなければラテアート技術を習得できなかったというくらいとても不器用なんです。YouTube動画でコツを掴むのは難しいですが、直接見るだけで得られる情報や学びはたくさんあります。眼の前で見たらすぐにできるようになる場合もあるんですよ。それに、生徒さまの、できた!という反応を間近で見ることは講師として励みにもなるので、今後も対面にこだわり講座を続けていきたいですね。

――家事や育児にレッスンが加わると、タスクが山積みになりませんか?

額田:確かに大変ですが、案外レッスンがあるときのほうが「何時までに◯◯を終わらせる」という区切りができるので、むしろ家事や育児は捗っています。レッスンの準備をしながら洗濯機を回したり、合間に食事の下ごしらえなどもできるので、メリットも大きいですね。
もちろん、すべて自宅でやっているので、ストレスを感じるときもありますよ。そういうときは息子と外へ遊びにいったり、カフェでコーヒーをテイクアウトして公園で一息ついたり、のびのびと過ごせる時間をもち、気持ちをリセットするようにしています。


夢は「ラテアートを教えるおばあちゃん」になること

 

――講師として長年キャリアを積まれていますが、今も「カフェをもつ」という目標に変わりはありませんか?

額田:おばあちゃんになってカフェをやるという夢が、おばあちゃんになっても教室をやる、という夢にアップデートされました。教える活動に大きなやりがいを感じているので、ずっと長く続けていきたいですね。

――今後、ストアカの講座でチャレンジしたいことがあればお聞かせください。

額田:特別な体験を楽しめる講座を充実させていきたいと考えています。

初心者向けの講座をはじめてから、ご家族やお友だちなど大切な方と趣味を共有したり、楽しい時間を一緒にすごすためにレッスンを受けていただく機会が増えました。

そういう方に向け、ラテアートといっしょに楽しめるくまちゃんのパン作りのレッスンを2年ほど前から始めたのですが、今ではすっかり人気の講座になりました。


手作りクッキーを焼く講座も
人気の手作りちぎりパン講座。淹れたてのラテと一緒に楽しみます。


――思い出に残る、楽しい時間になりそうですね。

額田:レッスンを通して、「あのときラテアートとパンを作って楽しかったね」と言い合えるような、思い出作りのお手伝いをしたいと考えています。まだまだ構想中ですが、プレゼントし合えるような手作りのものを、ラテアートと一緒にご提案していきたいですね。
また、お子様連れで参加できるレッスンや、家族で参加しやすいレッスンを増やしていきたいんです。赤ちゃんがいるから無理かな、と思っている方にも来ていただけたら、とてもうれしいです。

――ライフステージの変化をポジティブに捉えていて素敵ですね。

額田:講師をはじめたばかりのころ、当時は恋人だった夫が私のレッスンを見に来てくれたことがありました。そのときに「自分で仕事を作って、それを楽しんでいてすごいね」と言ってくれたんです。この言葉は、わたしにとってずっと宝物で、講師を続ける理由のひとつにもなっています。
 
講師へのキャリアチェンジも赤ちゃん同伴レッスンも、やらずに諦めていたら今の幸せはなかったと思います。やってみよう!と思ったら、まずやってみる。その繰り返しで今のスタイルにたどり着きました。失敗したら、そのとき考えれば良いだけなので(笑)。これからもラテアートを楽しみながら、大切な人たちと幸せな気持ちを共有していきたいですね。



――ラテアートを通して、うれしさや楽しさも広められている先生。できない理由や、マイナスを払拭するための手段を探すのではなく、「良くするためにどうしよう?」という発想で道を切り拓いてきた強さを感じました。
お子さんに離乳食を食べさせ、食後の遊びやおしゃべりを楽しみながらも、わたしたちの取材に真摯にご対応いただき、ありがとうございました!

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